みんないっぺんには、けっこんできないんだよ ~北大路京介さんのネプリから3~

怒涛のネットプリントラッシュに続いてKindleにまで手を広げ始めた京介さんですが(*’▽’)、先日出した「god」、ボク的にはここまでの中でいちばん不思議な魅力と笑いに満ちている気がします。なので、今までのネプリよりちょい多めですが、今回もまた、無駄に掘り下げてみたいと思います。そろそろこのボク評に飽きてきたかたもいるかもしれませんが、同じスタイルでいきまーす。

 

目覚めると夜が転がっている

一見、カッコよすぎかなーとも思いましたが、やっぱりとってしまいました。目線の位置が絶妙と思います。なんで夜が「転がっている」ことに気付いたか、というところなんだと思います。この人の目覚め方、当然「がばっ」とはしていないです。ゆっくりと目を開けたのだと思います。それも横向きですよね。外が見えない、壁向きのほうがよいですね。外が見えて、夜の町などが見えていたらカッコよすぎなので、薄暗い部屋の壁がぼんやりと見えているだけのほうがいいと思います。夜であることがわかるのが、自分が目覚めたという事実だけのほうが、しんみりきますよね。ふと目を開けたら、視界の中に夜が入り込んできた。じんわり広がってくるよりも、急に横からころころっと。でももちろん広大な世界を包んでいる「夜」ですから、ボールが転がってくるような感じではなく・・・うまく説明できないですが、そんな不思議な感覚を想像したくなります。

 

みんなと結婚してあげる

「はいはい、ケンカしない、みんなと結婚してあげるから!」

・・・。

 

お出掛けの日はパンツを履く

普段マッパで、正装としてのパンツ???いやいや、違いますよね。ふだんノーパン(服は着ている)ひとが、おしゃれのためにパンツを履く(服はもちろん着ている)ということですよね。深いですね。

 

ちょうちょをまるくむすんだ

実はこれ、なんでいいと思ったかわからないままいいと思って選びました。蝶々を使って丸い結び目を作ったと解釈するのが普通と思いますが、蝶々結びを丸い結び目として作ったという不条理として受け取っても面白いかと思います。いえ、蝶々結びは丸くないんですよ。だからまるくしたというのが不条理だと、えと、自分でも言っている意味がわかってませんので・・・。

 

妊婦の多い病院で父が死ぬ夢

これも不思議すぎてわからなさに惹かれてしまったものです。妊婦が多くとも「病院」と言っている以上は「産院」ではないでしょうし、つまりそこは普通の病院だというふうに考えるべきですよね。なぜそこに妊婦が多いのか、ということと、作品の主体者自身はなぜそこにいるのか、父が死ぬ夢とはどういう意味かなど、謎が多いです。むしろそれすらも夢なのではないかと。つまり、「妊婦の多い病院で父が死ぬ夢」をみた、という夢・・・。言葉の区切りさえ不思議です。「妊婦の多い病院で」は、自分がいる場所を示して、そこで「父が死ぬ夢」を見たのか、「妊婦の多い病院で父が」「死ぬ夢」を見たのか。この句のことを考えていると、いろんな可能性が浮かんでは消えていく不思議な感覚を味わいます。けっきょく、答えを見つけられないまま、ふわふわしています。こういう浮遊感は時々味わいますが、面白いものです。

 

母から親の顔がみたいなんて言われてDNA鑑定

父「あっ!ばかっ!」俺「えっ?」母「あっ・・・あらやだ、おほほ、違うわよ、おほほ」

 

人間につけられた名前を知らない

えっ・・・ボクも知らない・・・。知らないうちに行なわれていることって世の中おそらくたくさんあるんでしょう。身近なところでは、自分が知らないうちに上司たちが何やら決定していたりとか(たぶん日常茶飯事)、国民が知らないうちに政府が重大な決定をしていたりとか(そこそこ日常茶飯事)、これはもっともっと上のほうで、ある意味超越的な存在が、人間に対してなにがしかの名前をつけたと。でも、なぜこの人は、「名前をつけられた」という事実を知り得たのでしょうか。会社の決め事、国の決め事などはそれとなく伝わってくるものだと思うのですが、これに関しては知る由もないはずです。この人(作品の主体者)がイコール作者だとしたら、なぜそれを知っている!と詰め寄られても知りませんよ~。でも、なんて名付けられたかは知らないようなので、大丈夫かな。いえいえ、実は知っていて知らないふりをしているかもしれませんね。知っていることを知られてしまったら、消されてしまうかもしれませんし。あとかたもなく。この句自体も。この評自体もなかったことになってしまうでしょうから、知らないふりしといてくださいね。世の中、知らなかったほうがよかったことってあるかもしれないですしねぇ・・・あっでも、このネプリ読んだ人は、なんか名前つけられたことは知っちゃったんだ・・・。

 

寺の蚊のあげる経が良い

ぷ~んの中にそんな深いものが・・・。

 

普段ボクは定型の世界に身を置いているので、自由律俳句というのはあまり触れる機会がないのですが、なんでしょう、こうエッジが効いているというか、エグッてくるっていうのかな、そういう感覚がありますね。スゴつぶは自由律俳句とは違うかもしれませんが、少し挑戦してみて、すごく難しかったです(もちろん定型も難しいのですが)。こうしてさまざまな世界観を見せられると、えーなーと思いますね。